大学3年の冬、夜行列車で北海道へ旅立った。節約のため、飛行機ではなく寝台列車を選んだが、揺れる車内での睡眠は想像以上に難しかった。

隣の席のおじさんが「若いのに夜行列車とは渋いね」と話しかけてきて、ビールを奢ってくれた。彼は元船乗りで、世界中の港の話を聞かせてくれた。

真夜中、窓の外の雪景色を見ながら、まるで映画の主人公になった気分だった。朝、札幌に着くと、雪まつりが開催中で、巨大な雪像に圧倒された。地元の屋台で食べた味噌ラーメンは、冷えた体に染みた。

帰りの列車では、隣に座った女子大生と意気投合。彼女は写真家を目指していて、旅の写真を見せてくれた。連絡先を交換し、帰京後も時々メールで近況を報告し合った。夜行列車は不便だったけど、知らない人との出会いや、窓の外の景色が心に残った。

都会の忙しさから離れ、自分の人生を考える時間になった。今、夜行列車は減ってしまったが、あの旅のワクワク感は忘れられない。いつかまた、列車で遠くへ行きたい。